じざかなかまの声
株式会社やますえ
馬場 孝志 社長
「故郷糸島産の価値を上げていきたい」
私は糸島市出身です。生まれ育った糸島が大好きだから、糸島を盛り上げたくて仕方ありません。そして、この素晴らしき「糸島」の価値は、もっと上げることができると思っているんです。
例えば、糸島市は、天然真鯛の水揚げ量日本一ですよね。
この誇るべき素晴らしい実績が全国の人たちに認知されていないことが歯がゆくて。
糸島の「鯛」の認知度と価値をもっと高めて、全国の人たちに「糸島の天然真鯛じゃないとイヤだ!」って言われるようにしたいんですよね。
やますえは明太子がメインの会社ですが、糸島の港で水揚げされた鯛の商品も数多くとりそえて、「糸島の天然真鯛」をPRしています。
ただ、糸島の鯛をPRするには、自らが漁業現場や魚のことをよく知らないといけないと思ってまして。
だから、私は今、産直市場の「福ふくの里」に頼み込んで、魚をさばく調理場に立たせてもらっています。いつが美味しいのかとか、旬も勉強したいので。
漁船にも乗せてもらって、漁師見習いのような体験もしています。
こんなふうに、糸島の生産者とつながり、「糸島産の価値を上げたい」って言ってるときに、地魚BANKの馬淵さんと出会いましてね。
同じ志を持った人間がいて、うれしくなりました。
私より若いのに、真っ直ぐな思いが、正直にすごいなって思って。
一緒に糸島の地魚を盛り上げられたらと、地魚BANKの活動に参加したんです。
私も糸島のために、もっと、もっと働きたいなと思って。
私は働くのがすごく好きなんですよね。
中学生の時から新聞配達とかやって、自分の小遣いは自分で稼ぐような子どもでした。社会人になっても、瓦職人とか、運送業とか、いろいろ経験しましたね。東京、沖縄、博多と、長い間故郷を離れて、あちこちで仕事してきましたよ。
トレーラー運転手をしている時、魚卵を輸入する会社を立ち上げていた、やますえの山口末太郎会長と出会いまして。
営業として誘われてたんです。
当時のやますえは、ノルウェーのサバとか北海道のサンマとかを大量に仕入れて販売する問屋業の会社でした。
ネットワークがあって、信頼できる仲間から情報が入るんですよ。
「馬場くん、どうする? すごく脂が乗ってて、最高のサンマが揚がったよ」とかって。
「じゃ、1000万円分買っとって」という感じで買い上げて、現地で冷凍して、後々相場が上がるタイミングで売るーっていう金額の太い仕事をしてたんです。
それで、利益を出していたんです。
でもね、疲れるんです。本当に疲れて。これは長生きできないなって。
先物ですから、怖いんですよ。1億とか2億とかの入札ですから、当たれば大きな利益を出せますが、相場を外したら大損です。
今は、私も元気で気力体力あるから負けない自信はありますが、もうね、そんなハイリスク・ハイリターンの仕事じゃなくって、地に足をつけたローカル重視の仕事にシフトしたいなって。

今のやますえの本社は2013年、私が経営を継ぐことになったのを機に、福岡市から、糸島市に移しました。
糸島って、すごく人がいいんです。みんな「誰かのために」というのが、すごくあって。あったかいんですよ。
いろいろとお世話してくださる方々も多くて、それに対する恩返しという気持ちもあって、糸島が拠点の「地域商社」になろう、と思ったんです。
今、地域の産品の価値を高めるような、いくつかのチャレンジを始めているところです。
新しくスタートしたのが産直事業です。
本社の隣接地に加工場を作って、糸島で揚がった地魚を一次加工してホテルや飲食店さんに卸す仕事とか、地元の旬の野菜や魚介類を買い手のところまで届ける配送型の産直市場とか。
もう着手しています。
糸島食材の価値を分かってくれる地元や、全国各地のホテル、レストラン、シェフ、小売店の方たちとつながって、大型スーパーとか買い手側が「○○○円なら店頭に並べてあげるよ」みたいに値段を決めるのを変えたいんですよ。産地側、売り手側がまっとうな値段をつけて流通させられる世の中にしたいんです。
馬淵さんの活動も、やますえの考えと同じだと思うんです。
地魚BANKとコラボすることで、これからの糸島が、どう盛り上がっていくのか。
楽しみで仕方ありません。